2019年3月13日

国会・衆議院国土交通委員会 で奄美における大型クルーズ船誘致計画問題が取り上げられた。

 

宮本議員の質問を書き起こしました。

なかなか確信に触れてくださっているので、皆さまぜひお読みください。

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奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(198国会閣12)

衆議院議員 宮本岳志議員

「奄美大島は豊かな自然のみならず、独自の文化、歴史を持つ地域でございます。戦時中は要塞化が進められ、戦後はアメリカの統治下におかれ、島ぐるみの復帰運動を経て、1953年日本に返還された歴史がございます。
史実に直接触れることのできる戦争遺跡の保存と活用は奄美の歴史において非常に大切な視点だと思います。しっかりと支援をしていただきたいと重ねてお願いしたいと思います。

次に大型クルーズ船の寄稿問題についてお伺いしたいと思います。

奄美の南部・瀬戸内町でクルーズ船誘致の話が持ち上がっていると聞きますけれども、港湾局長、詳細な内容を承知しておられますか?」

下司港湾局長

「お答え申し上げます。委員お尋ねの奄美大島の瀬戸内町におけるクルーズ船の寄港地開発について私どもの承知のしておる範囲でお答え申し上げます。
まず、国土交通省では奄美大島と徳之島をモデルケースといたしまして、クルーズ船の候補地、寄港地の候補地検討にあたって評価すべき課題を整理するとともに、候補地の課題と実現可能性について概略検討を行うため、「島嶼部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査」を平成28年度、29年度にわたって実施をしております。

またその結果を29年8月にホームページ上で公表をいたしたところでございます。この調査の中で、現地の水深、波浪の状況、漁業への影響、サンゴ礁等の環境への影響、ビーチなどの観光資源の存在、こういった点を踏まえて、9か所を寄港可能性のある候補地として選定をさせていただきました。

この候補地のひとつとして、ただいま委員お尋ねの瀬戸内町の地域、西古見地区と呼ばれておる地域が候補地のひとつとして、選定、候補地としてあげさせていただいたところでございます。

これを受けて瀬戸内町は昨年、10月に「クルーズ船寄港地に関する検討協議会」を地元において設置をされたと承知をしております。

瀬戸内町における寄港の効果や課題等を調査分析し、クルーズ船寄港地のあり方について現在、議論を進めておられると承知をしております」

宮本議員

「その後、瀬戸内町がこの場所に寄港することを希望する船社を募集したと聞いておりますが、どういう船社が応募してきたかおわかりですか?」

下司港湾局長

「お答え申し上げます。第2回の同協議会におきまして、その議論の中で具体的に寄港に関心を示すクルーズ船社から考え方を聞いてみようという議決がされて、それを受けて第3回、2月に開催されておりますが、その場にロイヤルカリビアン社が寄港に関心があるのでその協議会に参加をし、プレゼンテーションをされたという風に承知をしております」

宮本議員

「もちろん私は、クルーズ観光船すべてに反対しているわけではありません。観光に限ったことではありませんけれども、奄美の振興において自然環境への配慮、住民合意が大前提だとは言うまでもないことです。とりわけ、奄美・沖縄では2020年の世界自然遺産登録を目指した取組が進められています。

そこで環境省に聞きますけれども、奄美・沖縄世界自然遺産登録に向けた、経緯と今後のプロセスを教えていただきたい」

環境省 鳥居審議官

「お答え申し上げます。奄美大島、徳之島、沖縄北部、及び西表島の世界自然遺産に関しましては諮問機関であるIUCNからの延期勧告を踏まえまして、必要な作業を進めたうえで、先月1日に推薦書を再提出させていただきました。

今後は来年の夏ごろに開かれる世界遺産委員会において、世界遺産への登録の可否が審議される予定でございます。

環境省といたしましては関係機関や関係自治体等とも十分な協力を重ね、IUCNの指摘に真摯に対応してまいりまして、確実な登録に向けて、引き続き万全を期してまいります」

宮本議員

「この世界遺産登録は、アマミノクロウサギ、イシカワガエル、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ等々の生物多様性に注目し、奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島を資産として推薦するものであります。

昨年5月にIUCN世界遺産委員会から延期勧告が出されて、申請をいったん取り下げましたけれども、今年2月に新たに申請を提出いたしました。この夏には、今お話しがあったとおり、改めて現地調査が入り、今が非常に大事な時期であることは間違いありません。

観光で多くの人に訪れてもらいたいということに異論はないわけではありますが、一方でオーバーツーリズムによる自然環境の破壊や外来種が入り、生態系に重大な被害を及ぼす危険性も高くなります。

環境省に重ねて聞きますけれども、日本政府の推薦書の持続可能な適正利用の推進というところでは、「世界遺産登録による知名度向上に伴う観光利用の増加とそれに対する利用の適正化は、遺産価値の保全と持続的利用における最重要課題である」と指摘するとともに、鹿児島県が2016年3月に策定した「奄美群島持続的観光マスタープラン」においては、「奄美群島の自然環境や文化の特徴を踏まえ、エコツーリズム等の少人数型で質の高い体験利用を奄美群島の観光の中心に据えていくことを目指している」事実が紹介されていますが事実ですね?」

環境省鳥居審議官

「お答え申し上げます。推薦地に関しましてご指摘のように、記載してございます」

宮本議員

「そこで港湾局に聞くわけですが、先程のロイヤルカリビアンというところのクルーズ船ですね、そしてあなた方が想定したのは、世界最大22万トン、乗組員も含めれば7000人という超大型クルーズ船でありますけれども、こういうクルーズ船の寄港地を奄美大島に作るということが、なぜ「少人数型の質の高い体験利用を奄美群島の観光の中心に据える」、この鹿児島県の方針に沿うことになるんですか?」

下司港湾局長

「お答え申し上げます。委員のご指摘、22万トン級という具体的なお話しでございますが、ロイヤルカリビアン社が現時点において奄美大島に具体的な開発計画を保有している状況とは、承知をしてございません。

クルーズ船を寄港させる寄港地として関心を示されているという段階でございます。先程ご答弁申し上げましたが、地元の協議会でロイヤルカリビアン社がプレゼンテーションをした内容を拝見しましても、寄港にあたっての地元との共生のあり方、地元の地域産業へのインパクト、効果をこうやって与えたいという考え方が示されたと承知をしておりまして、具体的に船の大きさでありますとか、そういった規模が示されているとは承知はしてございません。

したがって、その22万トン級というような前提として影響がどうなのか、世界遺産との関係について問われましても、なかなかお答えするのは難しゅうございますが、いずれに対しましても、推薦書にお示しをされています周辺管理地域に西古見地区は該当いたしますので、周辺管理地域の要件としまして、推薦地に影響を与える脅威の排除、低減、地域の生物多様性の保全と地域社会の持続的発展との両立の実現等を行うことされておりますので、この周辺管理地域の目標に沿った形での寄港地開発を進めることが重要であると認識をしてございます」

宮本議員

「事実確認です。
あなた方が奄美大島、徳之島に寄港候補地と9つあげたものは最大どういう船が想定して止まることを選んだんですか?」

港湾局長

「寄港候補地の選定にあたりましては、船の方向の安全性の観点から、水深12メートル、これは委員のおっしゃるとおり、最大級の船に該当いたしますが、そういう船も安全に停泊ができるという条件で、7百数十メートルの回頭水域、あるいは水深が12メートル確保できるという条件のもとで候補地も選定したという経緯がございます」

宮本議員

「そういう想定で選んでるんですよね。それで、これは環境省にあらためて聞きますけれども、延期が適当とされた昨年5月のIUCNの勧告において、推薦地の価値に影響を与える脅威としてどのような指摘がなされておりますか?」

環境省 鳥居審議官

「お答え申し上げます。推薦地の価値に影響を与える脅威として、ノネコ、ノイヌを含む侵略的外来種、固有種の交通事故、野生生物の違法採取、観光影響が指摘されています」

宮本議員

「まさに侵略的外来種、固有種の交通事故、野生生物の違法採取、観光影響が指摘されております。私は幸運にも加計呂麻島でアマミノクロウサギに遭遇したんですけれども、私でも遭遇できるほど逃げ足の遅いウサギでありました。人が持ちこんだノラ猫やノラ犬によって簡単にとらえられ、殺されてしまうので島をあげて対策をしておりました。

港湾局、世界遺産申請にこれだけ気を使わなければならないときに、なぜこのような大型クルーズ船の寄港地候補を奄美大島や徳之島になぜ9か所も選定したのか。

政府はこの選定に先立って、旅客やツアーを運営する企業からの要望関与があったのかとの質問主意書に対して、昨年6月23日の答弁書で船社からはクルーズ船の日本寄港への増加、その一環としての特に奄美群島への寄港の増加について、要望を受けた事実を認めております。
そこで具体的に聞きますが、奄美群島への寄港を具体的に要望した船社はなんという企業か、いつどのような要望を受けたのか、答弁していただけますか?」

下司港湾局長

「お答え申し上げます。要望があった船社はロイヤルカリビアン社でございます。要望があった内容は寄港地としての奄美について多大な期待を寄せている、クルーズ振興に関する主導を期待しているという趣旨の要望でした。なお、日付に関しましては、28年度の要望であったことは承知しておりますが、ちょっと今、日付まで……のちほど確認させていただいてお答え申し上げたいと思います」

宮本議員

「ロイヤルカリビアン社から寄港地としての奄美において多大な期待を寄せている、クルーズ振興に関する主導を期待していると言われて、国土交通省港湾局は瀬戸内町・西古見地区を含む九か所の寄港候補地を含む選定をし、一昨年8月14日に発表いたしました。

港湾局の発表のなんと翌日、8月15日には、瀬戸内町は西古見集落で住民説明会を行っております。
地元報道によるとこの日と、9月6日の2回の住民説明会で西古見地区の住民36人中、28人の賛同を得たとされております。

一昨年、12月議会では集落住民と町内4経済団体からのクルーズ船誘致の陳情書を採択、県に対して誘致に伴う支援を要請いたしました。

これに対し、住民から疑問の声があがり、昨年3月議会で町長は、計画を白紙に戻すと表明し、改めて検討協議会を設置したという経過がございます。

調査結果公表の翌日に早速、そのひとつの地区で住民説明会を開催するなどということは、国と瀬戸内町があらかじめ示し合わせていなければやれるわけがないんです。これは事前に連絡を取り合って、瀬戸内町が行ったことですね。間違いないですね」

下司港湾局長

「お答え申し上げます。先ほどわたくしがご説明申し上げました国交省がした調査でございますが、この調査の実施にあたりましては現地の調査も行ってございます。現地の当然関係者の協力を得て、調査を実施したところでございます。
このため、調査結果の内容についても必要に応じて、現地の関係者、例えば瀬戸内町に対して情報共有を行っておりますので、瀬戸内町は調査の進捗状況についてもあらかじめ把握をしていると考えております。
なお、調査結果に当たり、とりまとめにあたりましては、これは国土交通省の判断で九か所の選定を行いました」

宮本議員

「港湾局はこの候補地を選定するにあたって「寄港候補地の条件」というものを掲げております。係留施設の設置推進が12メートル以上であることとか、静穏度のよい場所であることとか、サンゴ礁がないなど環境への負荷が小さいこと等々、あげております。

改めて環境省に確認いたしますが、この港湾局が示している寄港候補地の条件というものは、環境省と協議したうえで、これなら世界遺産申請との関係で大丈夫、と環境省がお墨付きを与えたものですか?」

環境省 鳥居審議官

「お答え申し上げます。当該資料につきましては、国土交通省において検討がなされたものと承知しておりまして、その作成過程で当省は特段の協議等を受けているものではございません」

宮本議員

「この条件というものは環境省も与り知らないものであります。私は先ほど述べたように、クルーズ観光船一般を否定するつもりはありません。

しかし、瀬戸内町も含めて奄美大島の人がこぞって待ち望んでいる世界自然遺産登録が台無しになるようなことだけは、あってはならないと思うんです。港湾局が訪日クルーズ旅客2020年500万人を掲げてクルーズ船受け入れのさらなる拡充に、突っ走る背景には、この「明日の日本を支える観光ビジョン」で訪日外国人旅客者数2020年4000万人、2030年6000万人などと掲げたことがあると思うんですね。

そこでまあ、大臣に基本的なことをお尋ねするんですが、観光先進国も結構でございますけれども、それは自然環境を破壊したり、ここで暮らしている人々をないがしろにしたりすることではないと思うんですけれども、最後に大臣のご所見をお伺いしたいと思います」

石井国土交通大臣

「クルーズの振興を通じました訪日クルーズ顧客の拡大は国土交通省の重要政策のひとつであり、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
環境への配慮や地域住民の合意形成は、クルーズ船の寄港地開発に際して重要な要素であり、こうしたことに十分配慮して、進めるべきものと考えております。

宮本議員

「もちろんこの問題は本特別措置法の改正とは直接関わりはございません。我が党は本改正案には賛成をいたします。

しかし、私はいつから、港湾局は大手クルーズ船運営会社の下請け機関に成り下がったのかと情けなくなりました。

ロイヤルカリビアンクルーズ社から、クルーズ振興に関する主導を期待していると言われれば、たちまちその意向に沿って、奄美・徳之島に寄港候補地を選定する、しかも同じ一昨年の7月26日にはこの同じロイヤルカリビアンクルーズ社は、熊本県八代港とのカップリングで国土交通省から国際旅客船拠点形成港湾としての指定を受けております。
さらには昨年6月29日には、鹿児島港も国際旅客拠点形成港湾として指定され、今年3月9日には、鹿児島県がやはりこのロイヤルカリビアンクルーズ社と協定を締結した経緯、経過がございます。(2019年3月1日、沖縄県那覇港をロイヤルカリビアン社などの大型クルーズの寄港地「官民連携による国際クルーズ拠点」形成港湾に追加指定した。2022年の新ターミナル完成に向けた整備が動き出した。)

八代、鹿児島、そして奄美と、超大型クルーズ船が運行される可能性が大だと思わなければなりません。くれぐれも国民から、住民よりも企業の意向を優先してると不信の目で見られることがないように、しっかりと情報公開し、説明責任を果たしたうえで、あくまで住民合意で進めることを強く求めて、私の質問を終わります」

2:31:19秒あたりからこの瀬戸内町・西古見大型クルーズ船寄港地誘致問題についての質問になります。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php…